できない子が輝くキャッチボール練習法(捕球編)②

〜「 ボールが怖い子」に寄り添う練習:一歩ずつ、見ることからはじめよう 〜

少年野球やソフトボールの現場で、
「ボールが怖くて前に出られない」
「顔をそむけてしまう」
そんな子を見たことはありませんか?

特に低学年や、始めたばかりの子にとって、
軟式球やソフトボールは**思っている以上に“怖い存在”**です。

でも、まずお伝えしたいのはこれです。

■「怖い」は、決して悪いことではありません

子どもがボールを怖がるのは、とても自然な反応です。
速さ、音、当たったときの衝撃。
大人が慣れてしまっているだけで、子どもにとっては十分に恐怖を感じる要素があります。

それなのに、

  • 「いつまで怖がってるんだ」
  • 「当たらないから大丈夫」
  • 「男の子なんだから」

そんな言葉をかけてしまうと、
**“怖い気持ちを我慢するクセ”**だけが身についてしまいます。

大切なのは、
👉 怖いという気持ちを否定しないこと
👉 少しずつ慣れるための“安全な段階”を用意すること

今回はその中でも、
いちばん最初のステップになる練習を紹介します。

■ステップ:ネット前で「見るだけ練習」

この練習の目的は、
キャッチすることではありません。

目的はたった一つ。

ボールを“見ること”に慣れること

まずは、体の横を通るボールを「見る」練習です。

やり方はとてもシンプルです

  1. 子どもをネットの前に立たせます
    (バックネットや防球ネットが理想です)
  2. 大人が正面からボールを投げます
    ・距離は近くでOK
    ・スピードはゆっくり
    ・下投げで十分です
  3. 子どもは「見るだけ」
    ・キャッチしなくてOK
    ・グローブを出さなくてもOK

最初は、
👉 体の横を通り過ぎるボールを見せるだけで大丈夫です。

距離は「子どもの気持ち」で調整する

この練習で一番大事なのは、
距離を“大人が決めない”ことです。

  • 「ちょっと怖くなくなってきた」 → 1歩前へ
  • 「やっぱり怖い」 → 1歩後ろへ

この前後1歩の調整を繰り返すことで、

  • 怖さが爆発しない
  • 無理をして失敗しない
  • 「自分でできた」という感覚が残る

という、とても良い循環が生まれます。

また、
左側・右側の両方からボールを通すことで、
「片側だけ怖い」という偏りも、自然と減っていきます。

この練習の“本当の価値”

この「見るだけ練習」は、
一見すると地味で、練習っぽくありません。

でも実は、

  • ボールの軌道を目で追う
  • 顔をそむけずにいられる
  • 体が固まらなくなる

という、
キャッチに必要な土台を、すべて含んでいます。

ここを飛ばしてしまうと、

  • グローブだけ出して顔は横向き
  • 当たると余計に怖くなる
  • 「やっぱり無理」と自信をなくす

という悪循環に入りがちです。

声かけのコツ(ここが一番大事)

練習中は、技術的な指導よりも
声かけを大切にしてください。

おすすめはこんな言葉です。

  • 「今の、ちゃんと見れてたね」
  • 「ちょっと近づけたね」
  • 「怖かった?それでも見れたのすごいよ」

上手・下手ではなく、感じたことを言葉にする。

これだけで、子どもは
「やっていいんだ」
「進んでいいんだ」
と安心できます。

次のステップへ進むタイミング

この練習で、

  • 顔をそむけずに見られる
  • 近い距離でも固まらない
  • ボールを目で追える

ようになってきたら、
次はいよいよ 「受ける」練習です。

次回は、

グローブで“そっと受ける”だけのやさしいステップ
怖がらずにキャッチにつなげる、ゲーム感覚の練習

を紹介します。


最後に

「ボールが怖い子」は、
決して才能がないわけではありません。

ただ、
段階を飛ばされてしまっただけです。

一歩ずつ、
その子のペースで。

見る → 近づく → 受ける
この順番を大切にすることで、
必ず前に進めます。

また次の記事で、続きをお話しします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする