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〜「 ボールが怖い子」に寄り添う練習:一歩ずつ、見ることからはじめよう 〜
少年野球やソフトボールの現場で、
「ボールが怖くて前に出られない」
「顔をそむけてしまう」
そんな子を見たことはありませんか?
特に低学年や、始めたばかりの子にとって、
軟式球やソフトボールは**思っている以上に“怖い存在”**です。
でも、まずお伝えしたいのはこれです。
■「怖い」は、決して悪いことではありません
子どもがボールを怖がるのは、とても自然な反応です。
速さ、音、当たったときの衝撃。
大人が慣れてしまっているだけで、子どもにとっては十分に恐怖を感じる要素があります。
それなのに、
- 「いつまで怖がってるんだ」
- 「当たらないから大丈夫」
- 「男の子なんだから」
そんな言葉をかけてしまうと、
**“怖い気持ちを我慢するクセ”**だけが身についてしまいます。
大切なのは、
👉 怖いという気持ちを否定しないこと
👉 少しずつ慣れるための“安全な段階”を用意すること
今回はその中でも、
いちばん最初のステップになる練習を紹介します。
■ステップ:ネット前で「見るだけ練習」
この練習の目的は、
キャッチすることではありません。
目的はたった一つ。
ボールを“見ること”に慣れること
まずは、体の横を通るボールを「見る」練習です。
やり方はとてもシンプルです
-
子どもをネットの前に立たせます
(バックネットや防球ネットが理想です) -
大人が正面からボールを投げます
・距離は近くでOK
・スピードはゆっくり
・下投げで十分です -
子どもは「見るだけ」
・キャッチしなくてOK
・グローブを出さなくてもOK
最初は、
👉 体の横を通り過ぎるボールを見せるだけで大丈夫です。

距離は「子どもの気持ち」で調整する
この練習で一番大事なのは、
距離を“大人が決めない”ことです。
- 「ちょっと怖くなくなってきた」 → 1歩前へ
- 「やっぱり怖い」 → 1歩後ろへ
この前後1歩の調整を繰り返すことで、
- 怖さが爆発しない
- 無理をして失敗しない
- 「自分でできた」という感覚が残る
という、とても良い循環が生まれます。
また、
左側・右側の両方からボールを通すことで、
「片側だけ怖い」という偏りも、自然と減っていきます。
この練習の“本当の価値”
この「見るだけ練習」は、
一見すると地味で、練習っぽくありません。
でも実は、
- ボールの軌道を目で追う
- 顔をそむけずにいられる
- 体が固まらなくなる
という、
キャッチに必要な土台を、すべて含んでいます。
ここを飛ばしてしまうと、
- グローブだけ出して顔は横向き
- 当たると余計に怖くなる
- 「やっぱり無理」と自信をなくす
という悪循環に入りがちです。
声かけのコツ(ここが一番大事)
練習中は、技術的な指導よりも
声かけを大切にしてください。
おすすめはこんな言葉です。
- 「今の、ちゃんと見れてたね」
- 「ちょっと近づけたね」
- 「怖かった?それでも見れたのすごいよ」
上手・下手ではなく、感じたことを言葉にする。
これだけで、子どもは
「やっていいんだ」
「進んでいいんだ」
と安心できます。
次のステップへ進むタイミング
この練習で、
- 顔をそむけずに見られる
- 近い距離でも固まらない
- ボールを目で追える
ようになってきたら、
次はいよいよ 「受ける」練習です。
次回は、
グローブで“そっと受ける”だけのやさしいステップ
怖がらずにキャッチにつなげる、ゲーム感覚の練習
を紹介します。
最後に
「ボールが怖い子」は、
決して才能がないわけではありません。
ただ、
段階を飛ばされてしまっただけです。
一歩ずつ、
その子のペースで。
見る → 近づく → 受ける
この順番を大切にすることで、
必ず前に進めます。
また次の記事で、続きをお話しします。
