野球やソフトボールの「球を最後まで見る」指導の問題点とは!?

「ボールを打つ瞬間までしっかり見るんだ!」

これは、空振りをした時に指摘されたことがある言葉第一位であると思われます。

ボールは確かに見る必要があるのですが、この指導をバッターボックスで受けた子が、

その打席で結果を出すことってあまり無い気がしませんか???

元々打てる子の場合は、結果が出ることがあるでしょうが、

打つのが苦手な子がこの声掛けをされると、ほぼ内容が悪くなります。

これは、何故なんでしょうか???

また、「ボールを打つ瞬間までしっかり見るんだ!」という指導、

空振りの際のフォロースル―で頭が引っ張り方向に向いていることだけを見て、

言っていないでしょうか???

そんな時、子どもたちにこう質問されたら、あなたはどう答えますか???

「ソフトバンクホークスの柳田選手は、空振りの時顔がライトスタンド向いてますよね?

あのスイングは間違っているのですか???」

子どもたちは純粋なので、「あれは柳田選手が特別才能があるからだ!」

と伝えれば納得するのでしょうが、

せっかくであれば根拠をもって答えてあげたいところです。

視力の種類について考えてみましょう。

上記の二つの質問について考察していく前に、

そもそも視力って?ということから記載していきたいと思います。

視力の種類には、思った以上に色々な物がありますし、

捉え方によって色々な解釈ができるので、

ここでは私自身が野球やソフトボールに対して考えている解釈で書かせていただきます。

静止視力

いわゆる、一般的な視力です。目が悪いとスポーツでは不利と言われますが、

この静止視力以外は鍛えれば性能が上がりますし、

静止視力もコンタクトや眼鏡で矯正できるため、目が悪くてもスポーツの能力は上がります。

そうでないと、古田氏のようなハイパーキャッチャーは生まれませんね。

しかしながら、矯正しないままだと、他の視力に大きな影響が出ます。

動体視力

動体視力とざっくりいいますがその中には、

遠くから近くへ近づいてくるものを認識する動体視力と、

上下左右に動くものを認識する動体視力の二つが存在します。

野球やソフトボールのバッティングのミートの正確性に直結するのは、後者の方です。

電車の中で外を見る!などで鍛えられる能力も基本的にはこれですね。

深視力

距離感や位置関係を認識する能力の事を言います。

フライをバンザイしてしまう子の場合、この能力が未発達な場合が多いです。

繰り返し訓練すれば伸びる能力ですが、

周辺視野(焦点が合っている部分の周りのぼんやりと見える部分)への意識を広げる事で

より能力の向上が見込めます。

何故なら、この深視力に重要なのは、周囲からの情報をできるだけ多く瞬時に把握し、

判断材料となるものを得ることであるからです。

瞬間視力

その瞬間に情報を把握する能力のことです。投手のリリースの瞬間の情報から、

ストライクかボールかの見極め、ストレートか変化球かの判断力に繋がります。

一瞬表示される数字を何桁まで覚えられるか?

というようなテストが一時期流行りましたね。

この指導を受けた子がその打席で結果を出せない理由

視力について大体述べたところで、疑問に対する考察を行いたいと思います。

バッティングの際必要な視力は前述した視力が全部必要なのですが、

「ボールを最後までしっかり見る!」という指導を受けると、

大体の子が目に力を入れて、一点集中の視線を、

ピッチャーが構える前から送るようになります。

これが問題で、視力というのは、どれも目の筋肉を緊張させすぎると力を発揮できません。

試しに、目に力を込めた状態で、目を左右に動かしてみてください。

凄く負担がかかると思います。

さらに、一点集中をするということは、周辺視野が狭くなることを意味します。

メジャーの選手でも、実際にボールを目で捉えているのは2m手前くらいまでであり、

そのあとの部分はリリース直後からの

深視野・瞬間視野での情報を整理し、ボールを捉えています。

周辺視野が狭くなるということは、その情報量が減るということです。

結果、余計に当たらなくなる、ということになります。

力んでレフト狙いになっている子がに対して、

力みすぎずにセンター返し!という意味で伝えるのであれば成果が出るかもしれませんが、

それなら直球でそう伝えてあげる方が確実ですね。

力を抜いてリラックス!と伝える方が、打てる確率は上がるのかもしれません。

焦点は野球なら肘周辺、ソフトボールならブラッシング箇所となるのが一般的な様ですが、

人によって見やすい場所はかわるということなので、

小学生の指導ではあまり固定させすぎず、力まないことを伝える方がよいかもしれません。

また、視力についてはもちろんその打席内で改善することはないので、

今回は字数の都合で書きませんが、近々色々な視力トレーニングについて

書いていきたいと思います。

※視力トレーニングについて書きました(2018/06/19)

柳田選手はボールを見ていないけどいいの?

もう一点の考察、柳田選手は空振りした時にライトスタンドから

一塁側ベンチの方に顔が向きますが、これはいいのか?

と子供に聞かれた場合の回答の考察です。

自分は、「OK」と答えます。スローで柳田選手の動画を見せてあげれば、

納得してもらえると思いますが、ボールがバット付近を通過する際、

顔はボールの方を向いており、周辺視野の領域に入っているからです。

ですので、少年野球やソフトボールの場合でも、強く振ること意識させておいて、

顔の向きを指導すると、強く振ればいいのか、弱く振ればいいのか、

子どもたちが困ることになりかねません。この指導をする際は、きちんと動画を取り、

ボールがバット付近を通過する際の顔の位置を確認していきましょう。

また、ボールを見ていない場合、視野の問題よりも、

スイング自体の問題が多い気がします。

また別の機会に述べたいと思いますが、例えば右バッターの左腕の使い方が悪く、

腕で振ってしまっている場合、小学生の力ではバットの重みで脇が開き、

その結果頭が上がるということが起きる場合があります。

根本原因は何か?ということを、捉え間違いしないようにしていきたいですね。

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